声とマイクの迷宮 #1

ジャズボーカル


セッションで、あなたの声は本当に聴こえていますか?

ジャズボーカルの声は、マイクとPAを通って客席に届く。
マイク、音響、マイクコントロールを音楽家の視点から整理していくシリーズです。


ジャズのセッションに行くと、いつも思うことがあります。

ギタリストの入れ替えのとき、アンプやエフェクターのセッティングに時間がかかることは珍しくありません。

音量を確認して、
EQを触って、
音色をチェックして、
何度も音を出して調整する。

それは当たり前です。
自分の音ですから。

ところがボーカルはどうでしょう。

セッションが始まると、

「はい、歌どうぞ」

と言われて、マイクを渡されるだけ。
自分の声がどう聞こえているのかを確認する時間は、ほとんどありません。

そして演奏が終わったあとで、こんなことを言われたりします。

「マイク、あんまり入ってなかったわよ」

えっ。そうだったんですか?

あるいは逆に、

「ちょっとエコーかかりすぎてたね」

カラオケじゃないんだから、と。

演奏中にも、こんな経験があるかもしれません。

周りの楽器の音が大きくて、
自分の声がよく聞こえない。

ピアノ、ドラム、ベース、ギター。

バンドの音が盛り上がってくると、自分がどのくらいの声で歌っているのか分からなくなります。

するとつい、もっと大きな声を出そうとしてしまう。

でも演奏が終わってから客席にいた人に聞くと、こう言われたりします。

「ちゃんと聞こえてたよ」

あるいは逆に、

「ちょっと小さかったかもね」

ステージの上で自分が聞いている音と、客席で聞こえている音は、実はかなり違うのです。

声は「機材」を通って届く

なぜならボーカリストの声は、



マイク

PA

スピーカー

という経路を通って、はじめて客席に届くからです。

つまり私たちが聴いているのは「肉声」ではなく、機材を通った声です。

ところが多くのボーカリストは、この部分についてあまり学ぶ機会がありません。

ギタリストがアンプを理解し、エフェクターを持ち込んでいるように、本当はボーカリストも

  • マイク
  • PA
  • 音の作られ方

を少し知っておいた方がいいはずです。

ジャズとマイク

特にジャズでは、小さな声や息遣い、ニュアンスといった繊細な表現がとても大切になります。

そうした音を客席に届けるためには、マイクやPAの存在を切り離して考えることはできません。

言い換えれば、ジャズではマイクは単なる拡声装置ではないのです。

このシリーズで書いていくこと

このブログではこれから、

  • ライブハウスでよく使われているマイクの話
  • マイクの距離や角度で声がどう変わるのか
  • PAが実際には何をしているのか
  • ジャズにおけるマイクコントロール

といったテーマについて、音楽的な視点から少しずつ整理していこうと思います。

セッションやライブで、

「今日は歌いやすかった」

そう思える日を、少しでも増やすための話です。

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